北海道の風土を生かした庭造り

上野ファームの庭は、英国の庭づくりを参考にしながら、北国の気候・風土だからこそ表現できる植栽デザインを考え、この土地でしかできない庭づくりに挑戦している「北海道ガーデン」です。庭づくりを始めた当時は美しいイングリッシュガーデンに憧れて一生懸命、英国風を目指してつくってきました。
しかし、本物のイギリスの庭をしればしるほど、どんなに真似をしようとしてもなにかが違う、イギリスの歴史や空気感までは真似できない、追いつけない・・・と気づき、自分たちの庭を「英国風ガーデン」と呼ぶことにためらいを感じはじめていました。

そんなとき本州から庭を見に来たお客様が
「北海道のルピナスはどうしてこんなに大きいのですか? 東京とまったく違う・・・」
「北海道の花は、なんだかどれも色が濃くてきれいに見える」
「関東では一緒に咲かない花が一緒に咲いている!見たことのない風景」
など庭で咲く植物の姿に驚いている様子でした。北海道の庭づくりしか知らなかったため、その時はじめて北海道と本州の大きな違いを知り、はっとさせられました。

ここはイギリスではなく北海道。北国の気候、風土だからこそよく育つ植物があり、表現できる開花期の組み合わせや寒暖差がつくる鮮やかな花色が北海道の空気と混ざり合って、ここでしか感じられない魅力的な風景を作り出しているのかもしれない・・・
それならここは北国だからこそ表現できる「北海道ガーデン」だ!
北海道外から庭を見に来たお客様からいただいたなにげない会話が上野ファームの庭づくりに新しい希望を吹きこんでくれたように思いました。
それからはこの庭を「北海道ガーデン」と呼ぶようになりました。
北国の気候に植物たちが合わせて成長していくことで、ガーデナーが意識をしなくても、いつのまにか北海道でしか表現できない庭になっているのだと思います。